スフィラスれでぃの試着部屋

いろんな「超入門」を、意識的に単純化して書きます。各分野の専門家ではありませんので、情報の運用は必ず自己責任でお願いします。

賃貸のお部屋探し超入門

今回はいつもより適当です。学生時代に一人暮らしをするアパートを探した経験をもとに、少し調べた程度の内容です。

僕はお部屋探しにはかなりこだわったので、20件ぐらいの不動産屋さんを探したのですが、その際に変な業界だなあという印象を受け、実益半分・おもしろ半分で調べた結果です。

なお、私の経験は「相場も形も紋切り型の1K等が決まった時期に大量にやり取りされる」という学生向け賃貸特有の事情が含まれていることをご容赦ください。

 

◆はじめに

まず大事なことは、不動産屋さんに行く前に自分が求める「条件」を整理しておくことです。

・場所や交通アクセス(自転車の場合は坂も)、近くのスーパー等

・家賃

・床面積

・階数、エレベーターの有無、オートロックの有無

・お風呂系(バストイレ別、ユニットバス、風呂無し、バランス釜、等)

・築年数(1981年6月以降が新耐震基準後に建造された建物)

・自転車置き場の有無

・洗濯機置き場の有無、室内か屋外か

・キッチンや収納の機能性

・部屋の向きや日当たり

・夜の騒音、大通りの排気、周囲にヤバいものが無いか(特に墓地)

自分が求める部屋のパワーラインと予算を整理し、軽く見積もっておきましょう。安い物件を探す場合には特に、地雷物件を踏み抜かないよう確認リストを用意しましょう。

 

◆不動産屋さんのおしごと

まず、不動産屋さんには2つのお仕事があります。「管理」と「仲介」です。

「管理」は、不動産オーナーから物件を預かって(媒介契約)、借り手に貸すところまでもっていく役割で、不動産オーナーから管理手数料を受け取ります。仲介されて実際に契約に立ち会う不動産会社が、その物件の管理会社だと思います。成約時に大家さんから払われる手数料は、管理会社に入る場合が多いようです。

「仲介」は、管理会社と借り手をマッチングするお仕事です。仲介と管理の両方を行っている会社がほとんどですので、来たお客さんを自社で管理を行っている物件にマッチングすることも勿論あります。不動産の契約時に一か月分とか半年分とかの「仲介手数料」を敷金礼金とは別に払うと思います。これが基本的に仲介の取り分です。仲介を専門にやる業者もあります。

 

◆不動産情報ネットワーク「レインズ」

「仲介」を理解する上で重要なのが、「レインズ」という不動産ネットワークの存在です。これは、不動産屋さんだけが見ることができる、あらゆる物件情報が載っている凄いサイトです。Summoのプロ版と思ってもらうとわかりやすいと思います。

大家さんと媒介契約を結んだ不動産屋さんは、契約形態にもよりますが、基本的に5~7日以内にレインズに物件情報を登録しなければいけないことになっています(中には、それを守らないで情報を囲い込むところもあるとの噂も……)。ので、普通に考えると、不動産屋さんにこれを一回検索してもらえば、自分が望む物件にたどり着けるはずなのですが……

 

◆不動産屋さんは何をしているのか

不動産屋さんに入ってこちらの条件を伝えると、普通まず、店内に掲示してある物件やファイルに閉じてある物件などの中から、条件に合いそうなものをいくつか紹介してくれます。これらは、その不動産会社が自分で管理している物件である可能性が高いです。

それの中に条件に合うものが無い場合や、こちらが他にもっと探してほしいと依頼すると、今度はパソコンを叩いていくつかの物件を出してきてくれます。ここでは、レインズを検索している場合が多いと思います(これを並行して行う会社もあります)。

このように、一般的に不動産屋さんに物件探しを依頼すると、「自社物件フェイズ」と「検索フェイズ」の2つのフェイズが連続ないし並行して発生します。管理を行わない不動産会社は検索フェイズのみを行うものと考えられます。

 

◆強い物件はどこにあるか

学生のお部屋探しの場合は、期待値が高いのは、最初の自社物件フェイズだと思っています。

管理を行っている不動産会社は、できるものなら、自分で管理している物件を自分で客付けして、大家さんからの成約手数料とお客さんからの客付手数料を両方貰いたいと考えています。苦労せずとも借り手が決まる良い物件であればなおさらです。

媒介契約を結んだ不動産会社は最短で5日以内に物件をレインズに乗せなければいけませんが、逆に言うと5日は自社だけで情報を掲示することができます。良い物件は入ったそばからすぐ出ていきますので、この期間に売れることも多いでしょう。いい物件なんですからお客さんにもお勧めして、どんどん売ります。

ですので、不動産屋が最初に示してくる「おすすめ」の自社物件は、割と文字通りおすすめの物件である可能性が高いと思います(在庫処分のために微妙な物件を情弱に売りつけようとする不動産会社もあるかもしれないので注意は必要ですが)。

 

その後の検索フェイズでレインズから拾ってくる物件は、学生のワンルームのように紋切り型の商品の場合は特に「売れ残り」なので、基本的には期待値が低いです。10件目20件目ともなると、見たことある物件のオンパレードになります。しかし、仲介に力を入れてらず、管理を中心にビジネスをやっている街の不動産会社の物件などには掘り出し物もあるので、ワンチャンはあります。

逆に、部屋の条件に普通の人とは違う特殊な希望がある場合は、検索フェイズの期待値は高いです。そして、検索フェイズの成果は、検索をかける担当者の力量にかかっています。同じネットワークを検索しているとは思えないぐらい、人によって出してくる物が変わってきます。これはもう担当者ガチャですので、検索フェイズに期待をかけるならリセマラがある程度前提になります。

 

ちなみに、自分でネット検索して物件を探すのは、レインズの下位互換もいいとこですので、少なくとも学生の賃貸に関しては悪手です。しかも自分で頑張って調べたところで、多くの場合、広告掲載店に客付け手数料をばっちり取られます♡

 

◆強い不動産屋さんの条件

上記を総合すると、自社物件フェイズに期待するにせよ検索フェイズに期待するにせよ、強い不動産屋さん(や担当者)を探そう! という結論に至ります。

本当はその地域の有識者から紹介を受けることや、多くの利用者が利用しているところ(大学生協と提携している不動産屋とか)を利用する、といったのが理想的です。しかし、これから住もうという見ず知らずの土地で強い不動産屋さんを見つけるのは、結構難しいと思います。そこで役に立つのが、不動産屋さんの知事免許番号です。不動産屋さんはみんな持っている番号で、「東京都知事免許(X) YYYYY番」みたいな感じになっていると思いますが、その地域で力のある不動産屋さんは、このXの数字が大きいことが多いです。

このXは、過去に免許を更新した回数を表しており、Xが大きいほど昔から長く営業しているところだということになります。もちろん、営業歴が長いほどいい不動産屋とは限りませんし、組織改編で番号がリセットされることもあるそうなのであくまで一定の指標ではあります。実際には建物の外見や年期、担当者の力量、等から少しずつ察していくことになりますが、それでも、最初に入る店を決める指標ぐらいにはなるのではないかと僕は思っています。

 

◆交渉の余地

不動産を借りる際に発生する費用は、まず家賃・管理費等と初期費用に分けられ、初期費用は敷金、礼金、仲介手数料の3つに分けられます。

値切りの余地があるのは、家賃と仲介手数料です。家賃は、大家さんの考え方や市場の状況にもよりますが、言えば1000円とか2000円ぐらい安くなる場合もあります。1000円でも2年住めば24000円、5年住めば6万円なので、とっても気に入ったけど予算オーバーだ、とか適当なことを言って、ダメもとでおねだりしてみてもいいと思います。僕自身は、予算はどんなに最大でもn万、極力n-1万ぐらいまでに抑えたいと思っている、とか最初に言っておいて、その価格帯の中ならいくらの物件が来ても値切れるように伏線を張ってから探してもらってました。

仲介手数料は、家賃半月分の不動産屋と、一か月分の不動産屋があります。家賃6万円なら3万円の差なので大きな額ですが、とはいえ不動産のバリューに比べれば小さい額なので、手数料が安いことを狙って弱い不動産屋に行っても本末転倒です。

レインズに載っている物件であればどの不動産屋も紹介できますので、1か月分の不動産屋に紹介してもらった物件を名前だけ覚えてしれっと去り、半月分の不動産屋に入って紹介してもらう、という荒技もありますが、トラブル等もあり得るのでさすがの僕もおすすめできないです。それよりは、最悪はそういう方法がある、ということを覚えておいて、目の前の不動産屋に半月分にしてほしいと頼む方が良いと思います。